並んでいても楽しいお店

2002年12月30日号

●全国に200以上のチェーン店を展開しているシュークリーム店では、
それを求めようと、常に長蛇の列ができているという。


この待ち時間が人々の目にとまり、
「おや、なんだろう?」ということで、その列はさらに伸びる。


しかし、やっぱり待ち時間はつらいもの。


このつらい時間を、
「並んでいても楽しい店頭演出」で成功した事例がある。


●誰もが子供の頃、デパートの菓子やパン屋さんの前で、
その製造過程を見た覚えがあるだろう。


同様の演出を、このシュークリーム店では実施している。


製造工程としてはまず、シュークリームの生地を店頭のオーブンで焼き、
次に店頭カウンターに設けたシューポンプ(というクリームをつめるポンプ型の機械のこと)で、
出来たてのフレッシュなクリームを注入し、その場で客に手渡すという仕組みだ。


●同店以外にも、全国には「おいしい」といわれるシュークリームは沢山ある。


しかし、その多くが、
1日によくて500個程度しか作れないという。


より多くの人に商品を購入してもらうために店頭製造に乗りだし、
1日3000~4000個を製造することに成功している。


きっと、シュークリームが焼きあがるところなど見たこともない人がほとんどなわけだから、
その様子は興味深く映るだろう。


人の欲求としては、まず“見たい”がくる。


そして、そこで「なるほど」と思ったら、
次に来る欲求は“欲しい”だそうだ。


●たとえば、どこかの飲食店に行こうとするとき、
人々は何を基準に店選びをするのだろう?


その選択ポイントは、決して味だけではないはず。


思い浮かべるのはきっと、一度行ったことのある店で、
その時、とても心地良かったところではないだろうか。


このシュークリーム店では「並んだけど見ていて楽しかった」という部分が、
リピーターを増やし続けている。


この部分を大切にするかどうかで、
その後のクチコミにも影響してくるようだ。


【総括】


●同店は、もともとレストラン事業からスタートした。


その後、パン販売など別事業も考慮したが、
最終的に、シュークリーム専門店に行き着いたという。


パンの場合、焼きたてが命であり、
その種類の多さから売れ残り率が高まるという。


仮に、50種のパンを販売しているとすれば、
少なくとも50個のロスが発生する。


そういった意味からも、
1種類に特化することで、極力ロスを防ぐことが出来るシュークリームを選んだという。


全て実経験をもとに思考を重ねてたどりついた専門店なだけに、
その販売力は強固なものだといえる。

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