引き算の付加価値とは?

2003年11月03日号

●販売商品における付加価値とは何か?


スーパーオートバックス京都ワンダーシティでは、
朝7時からの車検受付サービスを開始するという。


朝7時から受付を開始すると、夕方には作業が終了し、引渡しが出来る。


特に、通勤の行き帰りの時間を有効に使いたいビジネスマンの需要を取り込む考えだ。


●この新サービスの背景には、これまでの苦い経験があった。


特に、ピットが混む週末など、
30分以上待たされると、帰ってしまう客が多かったという。


客は、来店するまではオートバックスで車検を受けることを決めた上で訪れる。


にもかかわらず、たった30分の待ち時間のために、
多くのお客(=売上げ)を逃していたことになる。


●最近では、
来店する前からあらかじめ店の混雑状況などを携帯サイト等で確認できるサービス
も現れはじめてはいるが、
そういったサービスを自在に使いこなせている消費者なんて限られたもの。


“待たされる”なんてことは全く意識せずに、
自分の都合の良い時に勝手に来店する。


客なんてそんなもの。


言葉は悪いが、
多くの人が自己中心的思考しか持ち合わせていない。


しかし、どうだろう。


我々にしたって同じではないだろうか?


販売側に立つ時は「なぜ買ってくれないのだろう?」と嘆いているにもかかわらず、
休日など客側に立った瞬間にはわがままになる。


これは、当然の話。


だからこそ、さらに客が求める希望・要望に気付き、
付加価値を高めていくしかない。


●付加価値と聞いて、皆さんは何を連想するだろう?


車検における付加価値は、
「他よりも安いこと」「他よりも速いこと」「他よりも確実で安心であること」、
さらには、「洗車サービス」や「DVDナビが当たるプレゼントキャンペーン」
なども行われているようだが、
「時間」も大切な付加要素となる。


1日で車検が終了するということは、
翌日から仕事に支障をきたさないことを意味するし、
乗り慣れない代車を使用するストレスも軽減できる。


●付加価値とは読んで字の如く、価値を付加することだが、
基本サービスに、別な“なにか”をドッキングすることが全てではない。


「長時間かけて整備してくれるから安心」
とは誰も考えない時代になってきた。


「確実で安心」は当り前。


長時間ではなく短時間でサービスを終了させる。


このような引き算の付加価値があることも認識していただきたい。


【総括】


●ある人気飲食店での話。


その店は人気があるから、入店するまでに長時間待たされる。


しかし、列をなして待っている客から不満の声等は一切聞こえない。


逆に、一度入店し、メニュー注文後10分程度待たされると、
途端にスタッフにクレームをぶつける。


店外で待っている状態は自分の意志で待っているわけで、まだ「客」という意識はないが、
店に入った途端に、一気にわがままな「客」に変身してしまうから不思議だ。


しかし、客ってそんなもの。


そんな客が、満足できるサービスを我々は今後も追求していかなければならない。

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