駅から託送サービス

2003年06月30日号

●去年、東京ディズニーランドに行った時のことだが、
福岡からの旅行ということで、さすがに手荷物が多く、
一度ホテルに荷物を預けに行く必要性があった。


近場のホテルとはいえ、チェックイン等をしていると、
どうしても1~2時間のロスが生じてしまう。


隣では子供が「はやくディズニーランドに行きたい!」とはしゃいでいる。


「一度ホテルに行くことなく、そのままディズニーランドに行ければもっと楽しめるのに」と感じた。


これは、つまり一つの不満要素である。


不満やストレスに感じることは、新しいビジネスや新サービスの種となる。


●こういう消費者心理を、大分県の湯布院温泉では「新サービス」として売り出す。


街の玄関口となるJR由布院駅前と旅館・ホテルを結ぶ手荷物の託送サービスがそれだ。


このサービスは文字通り、
駅で荷物を預ければ、そのまま手ぶらで観光に出向くことができる。


旅の目的は、チェックインや荷物預けといった事務処理ではなく、あくまで観光。


その時間は、1分でも1時間でも長い方が満足感を得られる。


●料金は手荷物1個当たり500円で、
組合に加盟する95の旅館の宿泊客が利用できる。


また、帰りの際も同様に、荷物だけ先に駅に届けて預かるサービスも手掛けるという。


単純に、荷物預かりとして比較するなら、コインロッカーなどよりも高いが、
旅先での500円なら、それほど大きな出費とは感じないだろう。


●このサービスは、顧客満足とともに、公共交通機関の利用促進という目的もある。


私も何度か湯布院町へ出向いたことはあるが、
さほど広くない道に対して人気のある観光地なので、車の渋滞が激しい。


これらを緩和する目的もあるという。


観光客の満足とは何なのか?


不満やストレスに感じているところは?


手荷物託送サービスというたった1つのアイデアで、お客の満足度は高まり、
託送代金という新しい収入源の確保、
そして何といっても、観光時間が伸びるということは、現地で金を落とす割合も高くなる。


さらには、車の渋滞解消、公共機関の利用増と良いことづくめ。


この新サービスが好評を得れば、立派な販促策となる。


【総括】


●「お客の立場に立ってサービスを行う」という言葉を聞くことが多いが、
是非みなさんに実践していただきたいことは、
「お客の立場」を頭の中のシュミレーションではなく、
実際の行動として実戦してみるということ。


旅館・ホテル業であれば、駅に入る瞬間からチェックイン、チェックアウト、
そして、帰路につくまでを全て完璧に一度実践してみてほしい。


実際の行動をしなければ見えてこないことは山ほどあるはず。


また、プラスアルファのサービスも生まれてくるだろう。


「日常の業務が忙しい」と思うかもしれないが、
実体験は(そのほとんどが)1日あれば十分にできる。


きっと、日常の業務以上に大切なものが見えてくるだろう。

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