豪華クルーズ客船の仕掛け

2001年10月19日号

●世界一周クルーズからワンナイトクルーズまで絶大な支持を得る、
あるクルーズ客船の人気の秘密を紹介したいと思う。


そこは、荷物もなく完全な身ひとつで乗船できる。


トランクは宅配便で自室にもう届いており、主を待っている。


出港とともにパーティが始まり、飲み物のサービス。


バンドの演奏で雰囲気を盛り上げ、
見送りの人たちから紙テープが投げられ華やいだデッキにひときわ高いドラの音が響く。


乗船わずか30分ほどで、非日常のシーンに誘い込まれていく。


●船内には食を堪能する本格的なダイニングルームから、
英国風クラブやレストラン・ラウンジまである。


遊びなら本場ラスベガスの歌と踊りのショーがあり、
また、軽く汗を流すならエステやフィットネスも揃う。


まさに、一流巨大ホテルがそっくり洋上を航海しているかのよう。


そしてクルーズを楽しむもう1つの秘訣は、
「縛られることの楽しみ」にある。


船内におけるマナーとルールに則り、
その約束事を積極的に楽しみとして味わうのである。


例えば、船内のショーやイベント・スケジュールなどを記した船内新聞には『ドレスコード』という欄があり、
夕食から就寝までの服装規定が記されている。


日によって、カジュアル・インフォーマル・フォーマルの3タイプがある。


その夜にふさわしいオシャレをすることで、
船内の雰囲気が盛り上がりゴージャスな気分に浸れるという。


●他にも色んな仕掛けが用意されていて、
日々のクルーズを飽きさせないというが、
この船のモットーを最後に紹介したい。


「サービスモデルは特にありません。
日々、我々が作り上げていきます。
こうした方がいいようだ、そうすればお客様はもっと喜ぶ、そのためのサービスの維持と改善が基本スタンスです。
また、お客様のアンケートシートによる指摘があります。
船内で何も問題がないとなったらおしまいです。
どんなことでも維持・改善のためには問題の顕在化が日常的にあり、対処できることが大切」


【総括】


●世界一周旅行などは高額な部屋から埋まっていくという。


皆、より良いモノ(商品やサービス)にはいくらでも出費する。


そこに最高の楽しみとサービスがあれば必ず売れるのだ。


今回はやや規模の大きな話ではあったが、
本文に記したモットーを読んでいただいたなら、
そこに商売の大小は関係ないことを痛感させられる。


売れるマニュアルなどないのかもしれない。


それは、日々の努力により改善・蓄積されていくものである。

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