変わりダネ

2002年02月04日号

●“変わりダネ”は一時期のブームを生む。


同時多発テロで破壊された世界貿易センターの跡地が、
今や、観光名所化しているという。


もちろん、多くの悲劇を生んだ惨事なだけに、
この状況について、地元ニューヨーク市民も複雑な面持ちで見つめている。


これを、ツアーの一環として組み込むことも倫理的にすべきではないが、
どうしても、あれほどの世界的ニュースだったため、
その現場を見たいと思うのは人の情。


もちろん、冷やかしなどで見に来る人はほとんどいないだろうが、
その数は日に日にふくらみ、市は見学時間の設定や展望台の設置などの対処をした。


ただ、そうすることで、いよいよ観光化してしまい、
地元人にとっては、市長に抗議する向きもあるようだ。


●これほど大きな、そして悲劇的な“変わりダネ”はないが、
同じ旅行業界の中で、面白いツアーがある。


こちらは、旅を楽しむものであり、一種のブームとなりつつある。


例えば、アジア少数民族の高床式住宅に泊まったり、
アメリカのグランドキャニオンに寝袋で寝泊りしながら移動したり、
といった究極的なアウトドアツアーが人気を博している。


特に、海外ツアーが冷え込み状態である旅行業界。


そこに異彩を放つ企画といえる。


●このツアーの販促手法として、
最も効果的なものがクチコミだという。


企画が特殊なだけに、説明用のパンフレットだけでは不安感が先行し、
ツアー参加を決定できない人が多かったことから、
2ヶ月に1回の割合で「参加したい人」と「参加した人」の交流会を始めたという。


「参加した人」にとってはこれほど満足感のある旅行はなく、
この内容を他の誰かに話したいところだが、
こちらも内容が特殊すぎて、理解してもらえない場合が多いという。


この両者の悩みを埋めるため、交流会が始まった。


●これまで、雑誌広告などでも募集をかけたが、
それより何より交流会により、企業側が営業・宣伝しなくても、
「参加した人」がどんどん客を引っ張ってきてくれるという。


販促手法の中で、最も信頼感がり、効率的であるクチコミが、
存分に発揮された企画といえる。


【総括】


●「でも、“変わりダネ”が簡単に見つかれば苦労しないよ」
と思われるかもしれない。


しかし、よく考えてほしい。


これは旅行業商品に限らず、
自分が常に興味のあることの中に“変わりダネ”はないだろうか?


または、身近な人の中に、
変わった趣味の持ち主はいないだろうか?


変わったことは一般的ではないので、
少なからず苦労している部分があるはず。


苦労は1つの不満であり、不満は大きなビジネスチャンスといえる。


また、特殊なものほどクチコミ効果は高い。


旅行商品だけでなく、輸入商品、飲食、エステなど、
埋もれて見えないだけの“変わりダネ”はひそかに存在している。

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