図書館をコンセプトにした人気ホテル

2003年08月04日号

●今回は、海外のビジネス事業について触れてみたい。


続々と新しい形態のホテルがオープンし続けているアメリカ・ニューヨークにおいて、
他とは一線を画すサービスで人気を集めているホテルがある。


大きな図書館が並ぶ“ライブラリー・オアシス”と呼ばれる区域に建つ、
その名も「ライブラリー・ホテル」がそれだ。


文字通り「図書館」をコンセプトに掲げたホテルだ。


●ホテル内は実際の図書館同様、大きな棚が並び、
フロアごとに大量の本をカテゴリー分けしている。


さらに、それらを各部屋ごとにさらに細かく分け、部屋の名前にしている。


例えば、「アート」フロアには「音楽」や「写真」といった部屋、
「文学」フロアには「詩」や「おとぎ話」といった部屋が並ぶ。


お客は、予約時に好みの部屋をリクエストすることで、
好きな本に囲まれた部屋で宿泊することができる。


●部屋数は全60室で、ホテル全体の書籍数は6000冊以上。


各部屋に20~30冊が常備されている他、
2階のカフェやフロントにも書籍があり、貸し出しができるシステムだ。


しかし、こじんまりと部屋の中だけで読書をしていても疲れる。


気分転換をしたい時は、最上階のサンルームや、暖炉のあるラウンジにも本棚を完備。


温かい季節などにはテラスでの読書なんて、本好きのお客にはたまらない瞬間となるだろう。


●しかし、「世界一の街ニューヨークで読書 …それほど需要があるだろうか?」
と首をかしげたくもなる。


娯楽が充実し、退屈とはほど遠いという街のイメージからも、
そう感じられるのも不思議ではない。


しかし、お客の嗜好は十人十色。


賑やかな街ニューヨークを訪れて静かに読書に没頭したい。


そんなお客も多く存在するのだろう。


ビジネスマンや観光客などから問合せが途切れないという。


【総括】


●ホテル業界に限らず、どの世界においても競合他社とのサービス合戦は存在する。


「より質の高いサービスを」「より満足できるおもてなしを」


しかし、これだけでいいのだろうか?


もちろん、これらは基本ベースであり、欠かせない大切な要素であることに間違いない。


しかし、それらは既成概念の城を出ていない。


また、それらはお客のためのサービスではあるが、
一方で、自社内の商品(ここで言うサービス)力アップばかりに目が向いているとも言える。


もっとお客の方向を向いてみることも必要だろう。


お客にはどのような嗜好を持った人間がいて、どのようなライフスタイルを持っているのか?


もっともっとお客さんそのものを研究し、理解する必要があるだろう。


お客を集合体と捉えひとくくりにしてはいけない。


なぜなら、お客一人一人が別人格なのだから。

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