専門店の新たな試み

2003年09月08日号

●専門店といえば、扱うアイテムは(基本的に)1ジャンルに限られる。


多くのアイテムを品揃えし、隆盛を誇ってきたデパート業界に陰りが出てきた頃から、
専門店への注目度は上がってきた。


「広く浅い」品揃えでは満足できなくなってきた消費者が、
「狭くても深い」専門店を支持し始めたのだ。


●しかし、時代の流れは速い。


そういった品目を絞り込むことで、他との差別化をはかってきた専門店にも、
それ以上の特色が求められる時代になってきた。


その動きの代表的なものが、専門アイテムプラスアルファという考え方。


例えば、婦人・紳士服のセレクトショプ「リステア」では、
全店に音楽CD販売コーナーを設置している。


通常のCDショップではなかなか手に入りにくい海外インディーズなどのタイトルを揃える。


●よそでは手に入らないCDを品揃えしているため、
これらのCD目当てに来店し、本業である衣類をついで買いするという客も増えているという。


CD導入の狙いは、店の売上げアップはもちろんのこと、
海外商品と並列することで、衣類のイメージ向上も見込める点。


●その他の業種では、低価格メガネを販売するメガネスーパーが、店内に化粧品コーナーを展開。


「イタリア素材のカラフルなメガネが似合うのは白い肌」
と、美白に効果のある化粧品を販売。


このプランも徐々にクチコミで広がり、
化粧品単体での売上げが、実に7億円を見込むというから驚きだ。


専門知識を必要とする化粧品だけに、社員研修にも力を入れている。


●専門店だからといって、必ずしも1アイテムに絞る必要はない。


特に、専門店が別アイテムを品揃えすると、
店のアクセントとしては十分にアピール力を持つ。


ただ一つ気をつけたいことは、他アイテムを導入することで、専門アイテムの印象が弱まり、
結果、どちらのアイテムも売上げ減になってしまうということ。


2つのアイテムがお互いを引き立て、相乗効果を生むことが最も望ましい。


互いの魅力を相殺してしまう品揃えでは、専門店として何の意味も持たない。


しかし、他アイテムを導入することで、その直後は多少なりとも売上げ増が見込めるだろうが、
それでも、本来の専門店としての1アイテムを貫き通す方が正解、という考え方もある。


見極めどころだろう。


【総括】


●今回の事例は、専門店に限ったことではない。


より多くの販売アイテムを持つことは、より多くの売上げを上げられるような錯覚を持つが、必ずしもそうではない。


特に、私のような個人事業者にとっては、
より多くの選択肢は、いずれも手つかずになってしまう危険性がある。


新たな販売アイテムを得るときは常に、
「この全く新しいアイテム導入により、今現在の本業はどういう状況になってしまうのか?」
という視点を持つ必要があるだろう。


ちなみに、今の私はより狭い分野、特化した分野を模索している。

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