歴史的商人の知恵

2001年07月20日号

●今回は、「商人」という視点から、
ある面白い歴史の話をしたいと思う。


『淀屋常安の知恵』


●時代は、徳川家康が豊臣家を滅ぼしたことで有名な大坂夏の陣。


豊臣方であった淀屋常安は、徳川に接近することを考える。


しかし、敵方である常安を受け入れてくれるものか?


そこで、「得意分野である土木建設技術を発揮しよう」と考えた常安は、家康に、
「この度の戦は必ず家康様のご勝利でございます。
そのお祝いの一助としてご本陣の建物を建てさせていただきとうございます。
費用は決して頂戴いたしません」
と申し出た。


●疑いを持つ家康。


「本陣の建物を無料で、とは業者としてのおまえの儲けがないではないか」


それに対し、常安は一つのお願いを申し出る。


「合戦が終わったあかつきにはおそらく豊臣方で討ち死にした者が城の近辺に遺棄されることでしょう。
この始末をさせていただきとうございます」と。


つまり、合戦時に生じた遺体の後処理をさせてほしいというのだ。


家康は、この申し出を受け入れ、
茶臼山に立派な本陣の建物が建てられた。


家康は喜び、「タダでは悪い。褒美をやろう」と八幡の山林地三百石を与えた。


●しかし、常安の本当の目的はこの褒美ではなかった。


遺体処理をする、
つまり遺体とともにある鎧・冑・刀・槍も処理するということだった。


そこまでは見抜けなかった家康。


常安は、大量の武具や調度品を手に入れ大きな利益をあげたという。


【総括】


●みなさんもよく営業訪問をすると思うが、
よく言われるのが「ギブ・アンド・テイク」。


テイク(受け取る)ばかり求めても、
相手は決して仕事を出してくれることはないだろう。


常安は、先にギブ(与える)を出した。


ある会社では、「ギブ・アンド・ギブ・アンド・テイク」というらしい。


まずは相手が喜ぶこと、得する情報を揃えて戦い(営業)に出てはどうか?


ギブこそ、テイクを誘発する最大の武器だと思う。

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