新鮮野菜をそのままスーパーへ

2003年12月29日号

●スーパーなどで『新鮮野菜』といったフレーズをよく見かけるが、通常の野菜の出荷形態は収穫日の夕方に農協が市場に持っていき、翌朝競りにかかり、早くてもその日の夕方でなければ店頭に並ばない。
つまり『新鮮野菜』は、“とりたて”ではなく、収穫から丸二日以上は経過しているものが多い、という現状がある。
●これまで、当たり前とされてきたこれらのシステムを打ち破る方法で注目を集めているベンチャー企業が、私の住む福岡にあるので紹介したい。
ベンチャー企業「ヴェルデ」は約40軒の農家と契約しており、毎朝スタッフがトラックで各農家を回る。
もちろん農協や市場を通さずに、朝9時半ごろスーパーへ直送。
店頭の農産物には、生産農家の顔写真と名前を添える。
この単純明快なシステムが、今流通業界で注目を集めている。
●価格は、他の商品より一割ほど高くなるが、みずみずしいレタスや、土のついた大根などが評判を呼び、今では福岡市内食品スーパーのテナントとしても入居している。
同社社長は、これまで20年にわたり農業機械メーカーに勤務し、その間に培った農家のネットワークを生かし、農産物直行便ビジネスを思い立ったという。
●初年度の売上げは2500万円。
従業員は5名。
一見非効率なシステムに見えるが、確実に新鮮で安全な農産物を入手できるとあって評判は上々だ。
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 ■□■ 総括
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●私は印刷会社に勤務している間、某大手広告代理店とおつきあいをしていた。
その当時、担当者だったО氏をつい最近の新聞紙上で目にした。
たしかタイトルは「大手広告代理店営業から農家へ」といったものだったと思う。
今流行りの脱サラから農家への転身だ。
その記事を見て、少し複雑な心境になった。
ゴミゴミした現代社会から、人間本来の生き方を見つめるために、自給自足の道を歩む。
理由はいろいろあると思うが、複雑だった心境は「現代社会からの逃避であってほしくないな。」ということ。
私もふとした時に息つくヒマもない現代社会に嫌気がさす時があるが、このゴミゴミした現代社会が好きであるという側面も多大にあるし、何よりこの環境で生きていこうと決めたのだから貫きたい。
農家へ転職する方を否定するわけではないが、(もし社会逃避という気持ちが少なからずあるのであれば)どの世界も“甘くない”といことを意識すべきだと思う。
ちょっと話がそれてしまったが、その点ヴェルデの社長の転身は見事。
これまでの経験を十二分に生かしての新サービス開発といえる。
単純なシステムだが、現代社会に確実に求められるサービスだろう。

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