縁起の良いタクシー

2002年12月15日号

●規制緩和をうけて、
タクシー業界に新たに参入した「ふくねこタクシー」の販促策がおもしろい。


東京都内だけで走るタクシーは5万台といわれる中、
同社のタクシーはわずか10台。


これを後ろ向きに考えず、
「ふくねこタクシーに出会えたらラッキー」
というシチュエーションをつくりだしている。


●具体的な媒体は、
車中でプレゼントとして差し上げる「オリジナルの招き猫のストラップ」だ。


不況からなかなか立ち直ることのできない今の日本において、
手にした人々が少しでも明るくなってもらえれば、という意図がある。


また、10台のうち5台は、
高級感をイメージ付けるために、メルセデスベンツを導入している。


それでいて、初乗り運賃は660円と一般的。


5万台の中の10台なので、
その噂がうまく広まれば、当然希少価値は高まる。


つまり、人気が高くなるというわけだ。


●これらの作戦が功を奏し、
今では、結婚式場への送迎など、指名受注であふれているという。


規制緩和による新規参入というハンデキャップを逆手にとり、
「縁起の良いタクシー」という、
これまでになかったニッチなニーズを掘りおこすことに成功した。


予約による受注が多いため、
一台当たり、夜だけの売上げで約4万円にもなるという。


【総括】


●他社と差別化を計るためには、
独自の販促策を講じ、客の注目を集めなければならない。


世の中が不況だと、ついつい価格競争ばかりに目をやってしまいがちだが、
まわりがやっていることを「右へならえ」で実施しても、
それは何の差別化にもならない。


価格が安いことは消費者にとっては確かに喜ばしいことだが、
それは“どこも安い”ことを意味し、
その価格ラインが『基準』になってしまう。


もちろん、価格が安いことへの努力は必要だが、
それ以上に客が喜ぶこと、満足できる価値を付加したい。


横一列のタクシー業界にあって、
“縁起の良いタクシー”以外のイメージ作戦はまだまだ掘り起こせるはずだ。

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