宅配めがね屋さん

2003年11月24日号

●個人が独立開業する時、
多大な資金を持たない場合が圧倒的に多いだろう。


これはハンデであるが、
と同時に金がないから生まれるアイデアもある。


今回は、金がなく、店舗を持てない宅配めがね屋さんを紹介したいと思う。


●社名もズバリ「宅配のめがね屋さん」。


1997年に独立を果たしたが、十分な開業資金を用意できず、
バンを改造して機材を詰め込み、車の中でカウンセリングや視力検査を行い、
めがねを販売していくスタイルをとった。

 
「とった」というよりもそれしか方法がなかった。


●しかし、一般のめがね屋さんと違い、
このスタイルだと「攻めの営業」ができることに気付いた。


地域を一軒一軒回って歩き、高齢者からの老眼鏡作りの仕事が舞い込んだ。


また、車内は店舗以上に客とのコミュニケーションがとれ、
徐々に顧客は増えていった。


●その後、保険代理店と組んで法人営業にも乗り出す。


売上げは上がり続け、開業から2年後には念願の店舗も出店。

 
もちろん、訪問販売も続け、
今では、訪問・店舗合わせて月間500万円の売上げが上がるという。


●売上げ拡大の大きな転機となったのは、
釣り用の偏光サングラスの取り扱いを始めてから。


(これも釣り具店との提携によるもの)


ここまで売上げが上がれば、もっと社長は楽できるだろうと思いがちだが、
いまだに訪問販売は社長一人で実施している。


過去にスタッフを雇い、拡大路線もとってみたが、うまくいかなかったという。


これは、今後の課題だという。


●身の丈にあった販売方法でスタートさせ、徐々に販売チャネルを広げていく。


もっとも確実に独立開業する方法なのかもしれない。


【総括】


●めがね屋さんは、接客が命。


決して安い商品ではないので、
消費者はより自分に合った商品を、より気持ち良く買いたがるもの。


では、その接客時における客との信頼感向上には、
どのような方法が考えられるだろうか?


客との密室空間を作り出す車内販売は、より高いコミュニケーションが図れる、
という意味で、的を得たスタイルだと思う。


“待ちの営業”が当たり前とされる業界に、是非ご一考頂きたい成功事例だ。

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